ちはやふる18巻感想

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ちはやふる待望の最新18巻が先日発売されました。

ちはやふる(18) (BE LOVE KC)

ちはやふる(18) (BE LOVE KC)

http://d.hatena.ne.jp/hitotu12/20120613:前巻の感想

今巻の表紙は見ての通り教師や師匠の総出演。

というわけで18巻は表紙の方々をメインにみていこうかなと。


前巻より富士崎の合宿に参加中のちはやと真島。

いきなり坂道ダッシュからはじまる18巻。

桜沢先生鬼畜過ぎです。

桜沢先生といえば、前線で活躍していたころ幾度となくクイーン戦に挑んでいた

ほど強い選手でした。もっとも頂にたつことなく教師となってしまったわけですが…。

その桜沢先生は全国高校選手権決勝でちはやの才能やかるたへの情熱、姿勢に

一目置くのでした。

18巻でも「これはまさに」と思うシーンがありました。

ちはやと理音の練習試合でのこと。

「試合中、普段は絶対にアドバイスはしない」という桜沢先生がちはやに…


「姿勢を保ちなさい。歴代の名人・クイーンは皆さん姿勢が良い。皆さん本当に美しかった。」

うおおおお。まさにクイーン戦で戦ってきたものの言葉の重さといったら…。

また、それを教えるあたり、本当にちはやに一目置いているといってもいいでしょう。

このあとも練習試合を行うわけですけども、桜沢先生、他校の生徒にもかかわらず

本当によく考えてかるたを指導しているなと感じました。

それとも、昔自分も同じクイーンを志すものであったことをちはやと被せているのか…。



そして次の話では授業中に国語教師が語りだすのである。


「受け売りをするために教師になったんですよ。」

自分が人生をとして培ってきた宝物。それを生徒へパスするために教師になったと。

桜沢先生も一緒だったのであろうか。

進路希望調査票に何を書いていいか悩むちはやはこの言葉を聴いてハッとするのである。



さて、18巻中盤では今巻の肝でもある、名人・クイーン戦の予選直前に行われる吉野会大会が

始まります。

右手が完治のちはや。A級・B級のみの大会であるとのことで強い奴らしか出場してきません。

もちろん高校生チャンピオン新も出れば前クイーンのゆーみん、原田先生も須藤さんも理音も

出場してくるというなんともドリームな大会。

そして、久々に登場する瑞沢かるた部顧問宮内先生。

桜沢先生と違い、もともとテニス部顧問でもある宮内先生は未だに

かるた100首は覚えきれていません。

「部室を守ってあげる事くらいしかできない」と桜沢先生にもらす宮内先生。

そして切り出すちはやのこと。

「クイーンになれる子でしょうか。」

1巻冒頭にあるとおり、ちはやは恐らくクイーン戦には出てきます。

が、結果はわかりません。読者も気になるところではありますが。

そして宮内先生はそのままちはやの将来を気にしていることを桜沢先生に

打ち明けます。かるたが好きだけれども勉強は下の上。

涙ながらに話し続ける宮内先生はちはやにどうやって助力を尽くすことができるのか

模索し続けているようです。

そして、その背景にはまさにちはやが書いた進路希望調査票であったのです。


「クイーンになる夢も将来の夢もつかんで来いって言ってやりたい……」

進路希望調査票には「高校の教師になりたい。かるた部の顧問になれるから」

どんな理由であれあのちはやが進路を、将来の夢を、記したのである。

こんなに生徒にどうにかして応えてあげたい宮内先生の姿に目頭が熱くなったんだ…。

試合も非常に盛り上がっており、次巻への引きも文句ありません。

そして、この引き直前、桜沢先生は宮内先生に返します。

「運や時代も関係するので、綾瀬さんがクイーンになれるかはわかりませんが

必ず倒さなければならない相手がいます。」

自分を重ねたとしか思えないこの言葉。必ず倒さなければならない相手に

負け続け運や時代に恵まれなかった桜沢先生。この言葉は重く、だがしかし、

次の世代に自分の育てた選手が恵まれていて欲しいとそう胸に秘めているのではないかと。

そうでなければ教師、ひいてはかるた部を指導しているわけがないのですから。

というわけで18巻も胸が熱くなる巻でした。